ビットコイン、$65,000手前で急反発 ― 米国勢の買いが久々に頭を出す

2026年7月15日

ビットコインは7/13にいったん$62,000台前半まで押したあと、翌7/14に$64,800台まで力強く反発しました。相場全体はまだ「底練り(消耗戦)」の域を出ませんが、今回はこれまで一貫して弱かった米国勢の需要にわずかな変化の兆しが見えたのが目新しい点です。オンチェーンとマクロの両面から、いまの局面を分かりやすく整理します。

本稿は 2026-07-15 08:00 JST 時点で取得したキャッシュ済みデータに基づきます(オンチェーン指標は7/13、価格・センチメント・ETF資金フロー・米国需要は7/14時点。レポート作成時のライブ再取得はしていません)。

1. 現在の市場の全体像:底堅いが、上値はなお重い

価格は$64,800台へ切り返しましたが、上昇トレンドに復帰したわけではありません。市場心理はいまだ「極度の恐怖(Fear & Greed指数22)」に沈み、価格の位置を移動平均線で見ても、現在値(約$64,800)は50日移動平均(約$64,300)をかろうじて上回る一方、200日移動平均(約$73,600)は大きく下回ったまま、中期トレンドは「デッドクロス圏(弱い地合い)」が続いています。

  • 下値を支える勢い: バリュエーション指標(MVRV Z-Scoreなど)は過去4年でかなり割安な圏内にあり、長期保有層の買いが下値を固めています。
  • 上値を抑える勢い: 6月の急落で高値掴みをした短期投資家の「やれやれ売り」がなお上昇の壁。今回反発した水準も、後述する短期勢の平均取得単価(約$68,000)には届いていません。

マクロ面では、7月28〜29日のFRB(米連邦準備制度)会合が最大の焦点です。6月の弱い雇用統計を受けて利上げ観測はやや後退し、市場は「金利据え置き」を8割方織り込む一方、なお2割程度は利上げを見込むタカ派寄りの空気が残っています。

2. 注目すべき4つのポイント

① 米国勢の需要が久々にプラスへ顔を出した

  • Coinbase Premium: 米国の機関投資家・大口の動向を映すこの指標が、7/14に約2か月ぶりにプラス圏へ転換しました。これまで記録的な長さでマイナス(米国需要が弱い状態)が続いていただけに、方向感の変化として注目に値します。
  • ただし1日だけ: とはいえプラスに転じてまだ1日で、定着したとは言えません。米国勢の「様子見からの復帰」がこれから本物になるか、次のポイントと合わせて見極める段階です。

② ETFの資金は「日次でプラスの日も出るが、週では依然流出超」

  • 現物ETFフロー: 7/14は小幅の流入(約+21百万ドル)でしたが、その前日7/13は大きめの流出(約-425百万ドル)で、直近7営業日を均すとなお約2億ドルの流出超です。
  • 背景: ETFは6月に過去最悪クラスの流出(月間で数十億ドル規模)を記録し、年初来でも大きな流出超が続いています。7月に入って断続的に流入する日が出てきたのは前向きな兆しですが、①のプレミアム反転と合わせても、まだ「底入れの入口」にとどまります。

③ 短期勢は依然「含み損」、押し目では投げ売りも

  • コストベース(平均取得単価): 短期保有者(保有155日未満)の平均取得単価は約$68,000。現在値(約$64,800)はこれを下回り、直近で買った層は平均で数%の含み損を抱えています。
  • SOPRの急低下: 利益・損失の状態を示すSOPRという指標が、7/13に「1」を大きく割り込みました(過去4年でも最低クラスの水準)。7/13の押し目で、含み損を抱えた投資家が損切り(投げ売り)を選んだことを示しています。

④ 長期勢の「静かな備蓄」はプラス圏だが、勢いは鈍化

  • ネットポジションの変化: 長期保有層(155日以上保有)の過去30日の保有量変化は+約26.5万BTCと、なおプラス圏(=買い越し)です。恐怖のなかでも古参勢が着実に積み増している構図は変わりません。
  • ただし減速: この積み増しは1週間前(+約29.6万BTC)、30日前(+約31.3万BTC)と比べると勢いが鈍ってきています。前回まで「加速」と伝えてきた蓄積が、足元では「続いてはいるが少しペースダウン」へと表情を変えつつある点は押さえておきたいところです。

(補足:マイナーの採算指標Puell Multipleは過去最低圏からじわり持ち直し、採掘難易度も次回はプラス調整(約+3%)の見込みです。効率の悪いマイナーの淘汰が一巡し、ネットワークが下げ止まりつつあることを示唆します。手数料市場は引き続き閑散で、推奨手数料は最低の1sat/vB近辺です。)

3. 相場転換を見極めるための「3つの分岐点」

  1. 米国需要の反転が定着するか: Coinbase Premiumのプラス転換が一過性で終わらず、ETFの資金フローも週次で明確な流入超に転じるか。この2つが揃えば、米国勢の需要復帰が「本物」に近づきます。
  2. 価格が約$68,000(短期勢の原価)を上抜けるか: この水準を明確に超えて定着すれば、短期投資家の含み損が解消され、これまでの「売り圧力」が「買い支え」へと変わる転換点になります。今回の反発はここに届かず、上値の重さが残りました。
  3. FRB会合(7/28〜29): 金利据え置きが濃厚とはいえ、声明のトーンが引き締め寄りに傾けばリスク資産全体に逆風。逆にハト派寄りの含みが出れば、恐怖に沈む市場心理を和らげる材料になり得ます。

総括

いまのビットコインは、バリュエーション面では過去4年でも割安な「底値圏」にあり、長期勢の買いが下値を支えています。7/14には米国勢の需要が久々にプラスへ顔を出し、価格も$65,000手前まで切り返しました。ただしその変化はまだ1日限りで、ETFの資金は週で見れば流出超、長期勢の積み増しペースも鈍化気味、短期勢の含み損も解消されていません。「底は堅いが、上値を本格的に取り返すにはもう一段の材料が要る」――そんな見極めの局面と言えそうです。


本稿は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。将来の価格動向を保証・示唆するものではなく、投資判断は各自の責任において行ってください。