50日線を奪還 ― 米国勢の売りが薄れる一方、長期勢の買いは一服
2026年7月21日
ビットコインは週明けにかけてじりじりと切り上がり、7月21日7時30分時点で約6万5200ドルと、この1週間の高値圏で推移しています。50日移動平均を上回り、6月の急落からの戻りが一歩進みました。ただし本格的な上昇トレンドに戻るには壁も残ります。この状況を、各種データとマクロ環境から分かりやすく整理します。
(価格・取引所プレミアムは7月21日7時30分JST時点の実勢値、Fear & Greedは7月20日、オンチェーン指標は7月19日、ETF資金フローは7月20日時点のデータに基づいています。)
1. 現在の市場の全体像:静かな戻り
6月に一時5万8千ドル台まで沈んだ相場は、7月に入って底堅く推移し、足元では約6万5200ドルまで水準を切り上げました。過去1週間で約+4.7%と、方向感は上向きです。
- 節目の奪還: 現在値は50日移動平均(約6万3200ドル)を上回りました。短期的な地合いは改善しています。
- ただし中期の壁は残る: 一方で200日移動平均(約7万2900ドル)はまだ大きく下回っており、中長期のトレンドは依然「デッドクロス圏(弱い地合い)」です。バリュエーション(MVRV Z-Scoreなど)で見れば過去4年でかなり割安な圏内にあることは変わりません。
つまり「短期は持ち直したが、中期の重さはまだ抜けていない」局面です。


2. 注目すべき4つのポイント
① 米国勢の売り圧力が薄らいでいる
- Coinbase Premium: 米国の機関・大口の需要を映すこの指標は76日連続でマイナス(米国需要が相対的に弱い)ですが、そのマイナス幅が着実に縮小しています。1週間前の約-0.11%、30日前の約-0.12%から、7月20日時点では約-0.05%へ。ゼロ(=米国とアジアの需要が拮抗)に近づいてきました。
- 意味: これまで上値を抑えてきた「米国勢の弱さ」が和らぎつつあり、戻りを後押しした一因と見られます。

② ETFへの資金が週ベースでプラスに転じた
- ETF資金フロー: 米国の現物ビットコインETFは、7月20日時点で直近7営業日の合計が約+1.7億ドルと流入超です。6月は記録的な流出(月間約45億ドル規模)に見舞われましたが、7月は流入する日が目立ち、機関マネーの出血が止まりつつあります。
- 注意: とはいえ7月20日の日次は約+700万ドルと小幅で、まだ「勢いのある買い戻し」とまでは言えません。

③ 恐怖はやや和らいだが、まだ「強欲」には遠い
- Fear & Greed 指数: 市場心理は7月20日時点で29と、「恐怖(Fear)」圏です。30日前(23)、1週間前(28)と比べると少しずつ底上げしていますが、依然として弱気寄りの水準にとどまります。
- 意味: 価格が戻しても投資家心理はまだ慎重で、過熱感はありません。歴史的には「恐怖」が続く局面は逆張りの買い場とされることが多く、下値の堅さと整合的です。

④ 長期勢の「静かな備蓄」はペースが鈍化
- 長期保有層の買い: 155日以上保有する長期勢の過去30日の保有量変化は、7月19日時点で+約19.3万BTCと、依然プラス(買い集め)圏にあります。ただし1週間前(+約29.7万BTC)、30日前(+約36.4万BTC)と比べると勢いは明確に鈍っています。これまで相場の下支えだった「静かな備蓄」が一服しつつある点は、留意しておきたい変化です。
- 短期勢はなお含み損: 短期保有者(155日未満)の平均取得単価は約6万8100ドルで、現在値(約6万5200ドル)はこれを下回ります。直近に買った層は平均で数%の含み損を抱えており、戻り売りの予備軍として上値の重しになりえます。
3. 相場転換を見極めるための「3つの分岐点」
- 約6万8千ドル(短期勢の原価)〜200日線を取り戻せるか: まず短期保有者の平均取得単価(約6万8100ドル)を上抜けて定着すれば、含み損の解消で「売り圧力」が「買い支え」に変わります。その先の200日線(約7万2900ドル)超えが中期トレンド好転の目安です。
- ETF流入と米国需要の改善が続くか: 週次プラスと、Coinbase Premiumのマイナス幅縮小がこのまま続き、はっきりとプラス圏に戻るかが鍵です。単発で終われば戻りも失速しやすい段階です。先物の資金調達率は小幅ながらプラス(年率約+6%)が約25日続いており、投機筋もわずかに強気へ傾いています。
- マクロ環境(FRBの動向): 7月28〜29日のFOMCが最大の焦点です。市場は金利据え置き(現行3.50〜3.75%)をほぼ確実(9割超)と見ていますが、利下げはほぼ織り込まれず、わずかな確率の変化はむしろ「利上げ」方向とされます。据え置き自体は想定内でも、「higher for longer(高金利の長期化)」を裏付ける発言が出れば、リスク資産全体の重しになりえます。
総括
ビットコインは米国勢の売り圧力が薄らぎ、ETFへの資金も週ベースでプラスに転じたことを背景に、50日線を奪還して1週間の高値圏まで戻しました。バリュエーションは引き続き割安圏で、下値は堅めです。一方で、これまで下支えだった長期勢の買いはペースが鈍り、短期勢はまだ含み損、中期の200日線も遠いまま。マクロも来週のFOMC待ちで、決め手を欠きます。総じて「短期は持ち直したが、本格上昇には米国需要の定着とマクロの後押しが要る、戻りの初期局面」と言えそうです。
本稿は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。将来の価格動向を保証・示唆するものではなく、投資判断は各自の責任において行ってください。