【2026/08/11】今週のステーブルコイン & RWA
今週のニュース
🪙 Circle 第2四半期、USDC 流通733億ドルと黒字転換
Circle が8月5日、2026年第2四半期の決算を公表しました。総収入・準備金収入は7億100万ドルで前年同期比7%増、うち準備金収入が6億6800万ドル(5%増)。USDC の流通残高は期末で733億ドル・19%増、オンチェーン取引高は14.8兆ドルで151%増と、使われ方の伸びが残高の伸びを大きく上回っています。継続事業の純利益は4800万ドルで前年から5億3000万ドルの改善ですが、これは前年に上場時の株式報酬費用が乗っていた反動です。調整後 EBITDA は1億4300万ドル(8%増)。読みどころは収益の質で、平均流通残高が25%増えたのに準備金収入が5%増にとどまったのは、準備金の運用利回りが66ベーシスポイント低下したためです。金利が下がるほど、残高を積んでも収入が伸びにくくなります。取引所などへの分配・取引コストは4億1200万ドルで前年比1%増、準備金以外の収入は3400万ドルで41%増と、金利依存を薄める動きも数字に出始めました。制度面では OCC から全国信託銀行 Circle National Trust の設立認可を最終取得。次の節目は9月16日の Arc 公開メインネットです。
🔗 Circle の独自 L1「Arc」、9月16日に公開メインネット
Circle が8月5日、独自のレイヤー1ブロックチェーン「Arc」の創設バリデータと主要な統合先を公表しました。バリデータは BlackRock・DTCC・Galaxy・Global Payments・ICE・Mastercard・MoneyGram・SBI グループ・Standard Chartered・住友商事・Visa の11社で、そのネットワークの上で事業を営む機関自身が検証を担うという設計です。Arc はいまプライベートメインネットにあり、100社を超える参加者が構築を進めています。公開メインネットは9月16日。統合面では、BlackRock がトークン化マネーファンド BUIDL を Arc の USDC ネイティブ統合を使って展開する見込みで、機関投資家は申込・償還・運用を1つのオンチェーン環境で完結できます。DTCC とは2027年後半から DTC 保管資産のトークン化で接続し、DTC の外側でトークン化資産に対するステーブルコイン決済を可能にする構想です。BNY と Standard Chartered も保管・外国為替・レポでの活用を検討しています。初日には Aave・Morpho・Uniswap、決済側の Rain・Thunes・Wirex、Kraken・Fireblocks・MetaMask などが並ぶ見込みです。ガス代は USDC で払う設計で、当局の審査は受けていないと注記されています。
🏗️ Tether、サウジで機関投資家向け不動産のトークン化
Tether が8月6日、資産トークン化基盤「Hadron by Tether」を First Advanced Data for Artificial Intelligence(First Data)および BKN301 と組んでサウジアラビアで展開すると発表しました。Hadron はトークンの発行と焼却、本人確認、チェーン上の報告、資本市場の管理、規制対応の助言までを一式で提供する基盤です。今回は First Data が商業面の主体として発行体と発行市場の運営を担い、BKN301 が統合・オーケストレーション・画面まわり・銀行接続・運用支援を受け持って Hadron を First Data の基盤に組み込みます。対象は機関投資家級の不動産で、これまで流動性が乏しく参加者も限られていた資産の持分を小口化し、投資への参加を広げる狙いです。Tether の Paolo Ardoino 最高経営責任者は「実物資産のトークン化は金融産業を再定義する」と述べています。位置づけとしては、サウジアラビアの近代化計画である Vision 2030 に沿った、ブロックチェーンによるシャリーア準拠の金融基盤づくりの一部とされています。トークン化の規模や目標額は開示されていません。
🏗️ Ondo の米国債トークン USDY、BNB Chain で稼働
Ondo Finance の米ドル利回りトークン USDY が BNB Chain で稼働しました。USDY は米国債を裏付けとし、許可を要さずに保有・移転できる形で利回りを載せたトークンで、トークン化された米国債の代表格のひとつです。今回の展開で目を引くのは配備先の追加そのものより、即時のミントと償還に対応した点です。従来は発行や償還に待機期間があり、これがオンチェーンでの担保利用や資金の出し入れの妨げになっていました。待ち時間が消えると、利回りを持つ資産をステーブルコインに近い感覚で動かせるようになります。チェーンをまたぐ移動は LayerZero を経由し、BNB Chain 上では PancakeSwap・1inch・CowSwap・Li.Fi といった取引・経路探索の各所と、Trust Wallet・Ledger の保管側が対応します。利用できるのは米国外の個人および機関に限られます。トークン化された米国債は発行体の準備金運用とも地続きで、対応チェーンと即時償還の広がりは、この資産がどこまで担保として使われるかを左右します。
🏛️ ECB、デジタルユーロのオフライン決済は現金並みの秘匿
ECB のラガルド総裁が8月7日付で、欧州議会議員 Gerald Hauser 宛の書簡を公表し、デジタルユーロのプライバシー設計を説明しました。前提として ECB は、デジタルユーロは現金を置き換えるものではなく補完するものだという立場を繰り返しています。単一通貨パッケージの一部である現金の法貨性に関する規則の進展を歓迎し、次の紙幣シリーズの候補デザインについて7月23日から9月21日まで公募意見を集めていることにも触れています。プライバシーの中身は経路で分かれます。オフライン決済は現金並みの秘匿性を持ち、取引の詳細は支払う側と受け取る側しか知らず、双方の決済サービス事業者もユーロシステムも見ることはできません。オンライン決済は他の電子決済と同じく、マネーロンダリングとテロ資金供与への対応のため、利用者の決済サービス事業者だけが支払いと本人を結び付けられます。商用目的で個人データを使うには明示的な同意が要ります。ユーロシステム自体は支払人も受取人も特定できず、ECB が持つデータは暗号化・仮名化され、独立したデータ保護当局の監督を受けます。最終的にプライバシーと他の政策目的の兼ね合いを決めるのは EU の共同立法者であり、ECB は技術的な助言を提供する用意があるとしています。
🔬 暗号資産カードの決済、7月に月7.59億ドルで2.5倍
a16z crypto が、暗号資産の決済カードを通じた支出を5つの図で整理しました。2026年7月の取扱高は7億5900万ドルで、1年前の3億600万ドルからおよそ2.5倍。件数は約900万件で前年の約520万件から伸び、1回あたりの平均は約86ドルと日常的な支払いの水準です。通貨の内訳は大きく動きました。USDC が約58%、USDT が約26%を占め、1年前の約48%・約7%から米ドル建てへの集中が進んでいます。2024年初にはユーロ建てのステーブルコインが取扱高の88%を占めていたので、構図はこの2年で入れ替わったことになります。チェーン別では Optimism が約29%、Solana と Base がそれぞれ約19%で、かつて主役だった Gnosis は約2%まで後退しました。プログラム別の最大手は RedotPay で、追跡できている範囲ではほぼ Visa の網の上を流れています。ただし絶対額は依然として小さく、月に何兆ドルを処理する既存のカード網に比べれば端の現象です。データは Paymentscan によるもので、決済用途のステーブルコインが実際にどのチェーン・どの通貨で動いているかを示す数少ない実測として読む価値があります。