2026年7月16日、マーク・ワーナー上院議員が暗号資産規制法案「CLARITY法案」への支持を表明しました。しかしその翌日、予測市場における同法案の年内成立確率は前日の40%台から35%へと下落しました。 一見矛盾するように見えるこの現象ですが、背景にはワーナー議員が提示した「厳しい修正条件」と、法案が抱える構造的な対立があります。
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1. なぜ支持表明の直後に確率が下がったのか?
直接の原因は、議員の支持そのものではなく、同日の公聴会で「法案の重大な抜け穴」が公式に浮き彫りになったことにあります。
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公聴会での攻防
7月16日の上院財政委員会にて、ワーナー議員は財務副長官候補に対し、トランプ政権司法省(DOJ)による技術的助言を引き合いに出しました。司法省は「現行案の除外規定は、かえって資金洗浄(マネーロンダリング)を容易にする」と警告していました。
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言質の獲得
彼は財務副長官候補から「法案に違法金融への対策を備えることは不可欠であり、司法省の指摘は懸念すべきだ」との回答を引き出し、「条文の書き換えなしには法案を進めさせない」という高いハードルを公開の場で設定しました。
市場は「支持された」ことよりも、「条文修正が必須となり、審議が難航する」というリスクを重く見たため成立確率が低下しました。
2. ワーナー議員が求める「修正条件」の中身
争点の中心は、「誰を資金洗浄対策の義務から外すか(適用除外の範囲)」にあります。
| 項目 | 現行案の懸念点 | ワーナー議員の主張 |
|---|---|---|
| 適用除外の範囲 | 運営に関与しない開発者だけでなく、資金を移動させるミキサーやタンブラー、自動プロトコルまで広く除外される恐れがある。 | 実際の資金移動に関わるサービスは除外せず、法執行機関が違法行為を捜査・立件できる範囲を確実に残すべき。 |
| 狙い | 規定が曖昧なため、抜け穴として利用されるリスクがある。 | 条文そのものを破棄するのではなく、法執行機関が納得する明確な文言へ書き直すことを求めている。 |
3. ワーナー議員の行動パターン:「三段構え」の戦術
ワーナー議員の動きは、2025年に成立したステーブルコイン規制法(GENIUS法案)の際に見せた動きと酷似しています。
【第1段階】法案推進(委員会採決に賛成) ↓ 【第2段階】あえて止め、修正を迫る(★現在地) ↓ 【第3段階】条件が満たされれば、土壇場で賛成へ転じる
- 一度法案を止める:資金洗浄対策などの詰めに懸念があるとして支持を一度撤回し、審議をストップさせます。
- 交渉と書き換え:交渉役に加わり、安全保障や消費者保護の条項を強化した修正案を取りまとめます。
- 最終合意で賛成:「完璧ではないが現状よりマシ」として最終的に賛成票を投じます。
現在、彼はこの「第2段階(条件を突きつけて書き換えを迫る局面)」に位置しています。条件が満たされれば最終的に賛成へ回る可能性が高いと見られます。
4. 今後の展望と成立へのハードル
ワーナー議員が納得する形で条文を修正できたとしても、法案の成立にはまだ大きな壁が存在します。
- あちらを立てればこちらが立たずのトレードオフ 資金洗浄対策を強化して適用除外を狭めると、今度は「広い除外」を求めている暗号資産業界や一部の共和党議員からの反発を招きます。
- 本会議での可決に必要な「60票」の壁 上院(共和党53議席)で議事妨害を回避して法案を通すには、民主党から7人前後の賛成が必要です。ワーナー議員1人が賛成に回っても確実とは言えません。
- 迫るタイムリミット 当初目標だった7月4日はすでに過ぎており、8月8日の議会休会入りが年内成立に向けた事実上の最終期限となっています。